「シキ。……教えてくれ。なんでだ? なんで俺のところに来た?
なんで嘘をついて、俺と一緒にいた?」
先生があたしの体を遠ざける。
温もりが離れ、さみしさが戻ってくる。
「理由なんて、はじめに話したじゃない。あたしは宿がほしかった。
本当の年齢言ったら先生、絶対泊めてくれなかったでしょ?」
「当たり前だ。だが、藤女は全寮制だろう。寮があったのに、なんで男の家なんかに?
それにおまえ、学校はどうしてたんだ」
「学校には行ってたよ? 先生が出勤したあとあたしも学校に行って、先生が帰ってくる前に戻ってただけ」
「なんでそんなことを……。学校が嫌いだったのか?」
まるで生徒の相談を受けてる教師みたいな口ぶり。
あたしは思わず吹き出してしまった。
学校が嫌いだったら、わざわざ先生に隠れてまで行ってないよ。
必要があったから、行ってただけだけどね。


