フワッ


『ただいま』



知ってる

もう忘れない

忘れるわけが無い




背中に当たるこの暖かさ

耳元で囁かれる声





「…おかえり」



私は振り返って正面から抱きついた

会った時に絶対涙は見せないんだって決めていたのに
どうしても彼のシャツに大きな水のあとが付いてしまう

彼はそんな私を当たり前のように包み込む



大きなその背中には
黒い羽はもう無く




代わりに桜が

羽のように舞っていた