成宮の隙間から見えた穂波の顔は …泣いていた 思わず俺は笑ってしまった 「おっさん、その辺にしといたほうが良いよ」 もう少しで触れそうな唇との間に挟んだ手 この時ばかりは 俺はヒーローを気取っていた ポカンと見るに耐えない間抜け面をさらしている穂波 その馬鹿面がなんだか懐かしくて口元がゆがむ 「生憎、これ俺の女なんで」 眉間に皺を寄せている成宮は置いといて 俺は穂波を連れて走り出した 驚くほど弱い力を加えただけでついてくる小さな体 俺の腕を拒まないことに嬉しくなる