【短編】距離の仲



ただ、ぼんやりと夕焼けの中の加奈を見つめる。


後ろ姿は、なんだ。昔と変わらないのに。


なら何が変わったんだろう。


見え透いた、あまりに卑屈な嘘が渦巻いた。


自分が一番わかってるくせにさ。


「どしたの、ぼんやりして」


振り向いた加奈の横顔が夕陽の赤銅色を帯びる。


「ねぇ、諦ってば大丈夫?」


僕は言葉を返さない。


また、見とれてる僕がいた。


それは夕陽に見とれてたのか、加奈に見とれてたのか。


わかってはいるけどはぐらかさずにはいられない。


「今度は笑ってる。やっぱり諦キモイよ」


「そうか」


僕は、笑ってるのか。


夕陽が穏やかにたゆたう。


「あのさ、加奈」


「うん?」



「僕さ。お前の事好きだから」