……おかしいな。
慣れてる筈なのに今回はなんだか落ち着かない。
さっきと何が違うんだろう。
手持ち無沙汰になってしまって理由もなく加奈を横目で一瞥した。
加奈は、首と視線を少し上げまばらに浮かぶ雲と夕陽に焼ける空を仰いでいる。
不覚にも見とれてしまった僕がいた。
「あのさ。お前の好きな奴のどこに惚れたんだ?」
加奈は視線だけをこちらに向ける。
「気になる?」
「別に」
「嘘だね」
「嘘じゃねぇよ」
「諦はね嘘つくとき頬を掻くんだよ。知らなかったの?」
……。
頬を掻く手を引き離す。
なる程ね。だからいつも僕の嘘はバレるわけか。
「ま、そんなに気になるなら教えてあげない事もないよ?」



