夕陽に照らされた稲がまるで実りを付けた稲穂のように黄金に輝く。 幾重にも重ねた赤と青の色彩の向こうからはビロードのように細やかな闇が迫りくる。 薫風に揺らされる遠くの陽炎も今は既に過去のように朧気だ。 その中に加奈がいる。 いずれも彼女を引き立てる風景に過ぎなかった。 僕は止まって、二、三歩前を加奈が行く。 君のいる、夕陽が煌めく。 キレイだと思った。 だから、声にだす。 「好きだ」って。 今度は頬を掻かなかった。 ー了ー