♂狭哉♂
葉月希沙…
「狭哉君は可愛くもないとか!」
なんで…そっちを言ったのが俺だと…狭哉の方だとわかったんだ…?
ありえないだろう?普通…。
髪型も…顔も…身長も…体格も声も…
全てにおいて俺達はクローンのように一緒なんだ…
昔はそれが気味悪くて…
嫌だった。
だけど、親とか…透兄とかに見分けてもらえると本当に嬉しくて、
俺達はその満足感を得るためにわざわざ服や髪型も一緒にした。
でも…所詮は家族だけ…
他人は見分けれない。
それがまた、悲しかった。
そして今日…あいつが現れた。
「左が倖哉君で右が狭哉君でしょ?」
これほど嬉しいことはあるんだろうか…。
こんな女を他の奴に取られたくない…
男にも…女にも…
コイツは…俺たちだけのもんだ…
「面白いね…。
希沙…いや、季智…俺たちを楽しませろよ…。」
俺達の花のない日常に一輪の蕾が咲いた。

![[短]ハロウィンの夜に](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)
