「お待たせ致しました。どうぞ」
矢沢さんがすぐに到着し、私達の会話は打ち切られた。
でも、心の中では少し温かいものが残っている。
“それだけで充分だ”
私が二人を見分けれる事が、二人が少しでも救えたなら、嬉しいな。
車では三人が騒いでて、柊兄弟は全員空を見ていた。
私はケータイで母に近況メールを送っていた。
別荘に着くと、門を潜る前に車が停車した。
透「矢沢、どうした。」
少しイラついたように透センパイの声は少し低い。疲れが出てきているんだろう。
「申し訳ございません。透様、門の前に人がおられます。どうなさいますか??」
透「人??見せろ。」
その人を見て透センパイの顔が歪むのを誰ひとり見逃さなかった。
「お前らはここで待ってろ。俺がかたをつける。絶対出てくるんじゃねーぞ。」
低い声にいつもと違う言葉遣い。どんな人がいたのか凄く気になる。
でも、怖くて聞けなかった。
とくに明日香達三人は、透センパイのあんな言葉遣いを聞くのはもちろん初めてで、唖然としていた。

![[短]ハロウィンの夜に](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)
