透「じゃあ矢沢呼ぶか。」
電話をかけはじめた透センパイの横で、私はシャワー室でさらに濡れた髪をクシでとく。
今日の髪は自毛だから、短いけど元々伸びるのも早いし、切ってから放置していたので、短めの女の子くらいには見えた。
夜、短く感じたのは昼間ウィッグをつけて長かったからだろう。
クシでといていたのはいいものの、おもいっきり絡まって取れなくなってしまった。
短いのにこんなに絡まるなんてありえない!
無理矢理引っ張ってとこうとしていると、となりから「貸せ」と倖哉が私の手からクシを盗った。
倖「女なんだからもっと髪を大事にしろよな~。」
「すいませんね~。
どうせ夏休み明ければ男だからいいんですぅー!」
精々嫌みったからしく言ったつもりだ。
私は夏が過ぎたら私じゃなくて…俺になるんだもんね。
倖「嫌みかよ。可愛くない女。」
「知ってまぁーす。」
倖哉がクシをとおすと、いつの間にか綺麗に解けていた。
髪もサラサラ。
なにこれ…

![[短]ハロウィンの夜に](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)
