「おはようございます。悪いんですけど、出ていってもらえませんか…。」
「………ん。わかった。」
そういって立ち上がったセンパイは戸に向かって歩き出した。
そして、私の頭にポンッと手をおいて「昨日は悪かったな」と言ってそのまま部屋を出た。
「………っ………。」
こういうのを、大人の対応っていうのかな…。
狭哉や倖哉、雲雀クンとは全然違う。
なんで、とか問い詰めたりすることもなく、部屋を出たり、一言詫びをいれたり。
自分がしたこで、相手の気持ちを考えてくれている。
本当は当たり前なんだろうけど…あの兄弟を見てるとすごいと思ってしまう。
私でもあの対応ができるっていう自信はない。
きっと…なんでって聞いちゃう。
でも…センパイは一つしか私と歳は変わらない。
やっぱり…将来期待されて絶対に高い地位に立つ人として育てられてきたセンパイは、どうしても私たちより大人の世界を見てしまう。
だから、きっと大人びてしまうんだ。
私はベッドに倒れ込みメールを一斉送信で一文かえした。
【本命なんていないよ。】

![[短]ハロウィンの夜に](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)
