逆ハーレム☆意地悪王子と訳あり姫



狭「ったく…なにやってんだ。ほら。」


手をさしのべてくれた狭哉。
私はその手を取ろうと手を伸ばしたその時…
あの記憶が蘇る。

狭哉が無理矢理私にしたキス…

私にとってあれは許せない。
確かにあのまま祐輔とキスするのもいやだった。
だからといって、止めるのに、他に手はなかったの??

私は伸ばした手を引いて、自分で立ち上がった。


「いらない。」


私はそのまま自分の部屋に帰った。
その時、狭哉が何れだけ傷ついた顔をしていたかも知らずに。

部屋に戻るとまだ透センパイが私の椅子で寝ていた。
正直、可哀想で起こすのは気が退けたが、このままではどうも落ち着かない。


「センパイ、起きてください…。」


透「………ん………。あぁ、希沙かおはよう。」


眠たそうにつけていた眼鏡をはずし、目を擦る。
小さなあくびをして、もう一度眼鏡をかけた。
開いていた本は閉じられて、センパイの手に握られていた。