『住所を教えて下さい』
少しは落ち着いたものの、やっぱりまだ落ち着いて無い私は、住所を間違えた。
幸い自分の家の2軒隣りの住所だったからまだ良かったものの全く違う住所を伝えていたらどうなっていたことか。
パニックになると人間は大変な事になるな…なんて今は思う。
そして、続けて言葉を貰う。
『これから人工呼吸の仕方を教えますから、よく聞いてそのまま実行して下さい。
お母さんの口で、お子さんの鼻も口も覆う事が出来るようなら覆って、お母さんの息を思い切り鼻と口に入れて下さい。
鼻と口が無理ならば鼻をつまんであげて口だけ覆って同じように息を思い切り入れて下さい。』
とても丁寧に焦らず教えてくれた。
私も涼也を助けたい為に真剣に聞いて実行した。
私は大きく口を開き涼也の鼻と口を覆って思い切り息を涼也の鼻と口に入れた。
『ふーーーーーっっ』
一旦、私は涼也の鼻と口から離れて涼也の顔をすぐに見た。

