『涼也君の退院おめでとうございます。
ですが今日この場を設けさせて頂いたのは、涼也君の病名を告げる為です。』
……病名…?
そんな…病名だなんて…思ってもない事を切り出され呆然としている私達を知ってか知らないでか先生は淡々と話を続けた。
『涼也君は、ビールス症候群と言う病名が付きます。』
ビールス…症候群…?
聞いた事の無い病名に私達は、ますます呆然に唖然。
理解が出来て無いまま先生は、やっぱり淡々と話を続ける。
『ビールス症候群とは簡単に言えば骨の病気です。両手の親指以外の全ての指の第2関節が曲がっているのも耳たぶが上に向けて反れてるのも、あっ、手の指が細く長いのも、この病気の症状です。
日本で確認出来てるのは数十人です。
ビールス症候群とは医学界での名前で日本名に直すと……』
と、私達には理解不明な言葉が次々に耳に入って来た。
この先生が話してるのは…日本語な…のか?
確かに聞いているのは日本語。
だけど何を言ってるのか全く分からない。
理解が出来ない。
そして日本名に直した病名は、当時、メモを取ってた訳でもない私達は現在、忘れてる。ただ名前の中に、
【蜘蛛】
…と、言うのがあったのは覚えてる。
第2関節から掌に曲がっている格好が、そう【蜘蛛】に似ているから、だから【蜘蛛】と言う名前が名前の一部に入っているんだと説明を受けた。
それから蜘蛛は前から好きでは無いけど、前より蜘蛛は嫌いになった。
本当に蜘蛛の足みたいな涼也の両手。

