若君方も、恭しくそのお声がかりにお答え申し上げて、

「御乳母殿は我が母君も同然、病がちにて、と、お里下がりをなさいましたのを、いずれには、とは思いまして過ごしておりましたが……けれど、日の経つのは早いものですね。今まで訪ね参らせませんでした不徳を責められこそすれ、何ゆえか、そのようなお言葉をいただけましょうか」

と、このようにおっしゃるのでした。