これには、かの大人しげな女房も、わずかに、形よい眉をお寄せして、

「まあ、姫様……先触れもいたしましたのに……」

とお咎め申し上げるのでしたが、香月姫には、お気になさるご様子もなくて、

「姉が弟と会いますのに、何のさわりがありましょうか」

と、このようにおっしゃるのでした。