この奥まった場所にありますのは、件の月の姫のご座所でございます。 「いざ」 と、かの女房の誘いにて、二の君が、しずやかにその部屋にお通りになりますと、驚きますことに、机帳の一つもたてず、御簾の一つもおろさずに、かの姫は、くつろいで、座していらっしゃるのでした。