さて、二の君が次の間に下がられますと、控えておりました女房の、しっとりと微笑むのが、これをお迎えいたすのでした。

「このようにお近くで拝見いたしますと、なおお懐かしく存じます、二の君様」

このように申すのを、二の君は、初めてに、この方のお顔をはっきりとご覧になって、

(これは、なんとも、美しい方で……それに、不思議に、なんとはなしに、香月姫に似ていらっしゃること……)

と、感心されて、息をおのみになるのでした。