さて、このように一の君のおっしゃる含みを、この賢しき女房が、気づかぬはずもございませんで、

「久方に、積もるお話もございましょうから」

と、ゆるりと次の間にお下がりするのを、かの西の方も衣擦れにお聞きおよびになって、机帳のかげから、扇をお打ちになって、若君方を差し招かれます。