ウエイトレスからワインを渡された娘はどうするか迷っていた。



(どうしよう…私まだ未成年なんだけど…)


どうやら間違われてワインを貰ってしまったらしい。



(そんなに
二十歳過ぎてるように見えるかな…?)


そんなズレた思考に向かっていた矢先、不意に後ろにいた街の人の会話が聞こえてきた。



「あれでまだ16歳とは…
随分としっかりしておられるな」



「えぇ…。きっと
国王陛下の血を濃く受け継いだんだわ」


聞くとそれは、王子と父である国王の事のようだった。



「国王様か…そう言えば、
今年も舞踏会に出席していなかったな…。」



「えぇ…。
まだお仕事が残っているらしくて
帰って来られないそうよ」


その会話に、少なからず娘は不思議に思った。



(え…?)


てっきり父である国王も出席していると思っていたのだ。



「お気の毒ね…せめて今日ぐらいは
舞踏会に出席なされば良いのに…」



「仕方ないだろ。
国王陛下は国を治められているのだからな。

たとえ王子の誕生日であっても、
滅多にお目にかかれないだろうな」