━━━日が沈み、第一の花火が茜空に打ち上げられると同時に、舞踏会が開かれた。

街の人々はそれぞれ着飾り、それなりの格好で宮殿へと足を運ぶ。

そんな中一人、娘は森から抜けてゆっくり街を歩いていた。



「いけない…
洗濯物取り込んでたら遅くなっちゃった…。
良いのかな、こんな服装で…」


仕切に自分の服装を気にする。

上は桃色がかかった薄い紫のチャイナ服で、下は白のマキシ丈のレース型ロングスカートの、何処か大人っぽく、尚且つ可愛らしい洋服だった。



「すっかり遅くなっちゃった…」


辺りを見渡すと、表参道には街娘も魚屋もおらず、既にもぬけの殻だった。

恐らく自分以外は皆宮殿の中だろう。

そうこうしている内に、漸く宮殿に辿り着いた。



「此処かな、宮殿って…」


宮殿の正門を見上げれば、金色と白のコントラストが美しく、夜空をバックに見事な宮殿だった。



「何だか…
場違いな気がするな、私…良いのかな…。」


豪勢な宮殿を見上げ、あまりにも自分の存在がちっぽけに見えて躊躇っていた。