次の日の夕方、1台の黒い大きな車が農道を登って来た。

この先には、農家や牧場しかないから、一般車なんてほとんど通らない。


見慣れない車は、旭んちの前でスピードを落として、止まった。


「何だべ?」

わたしと日夏は、とうきび畑の隙間から、その車に釘つけ。


一人が助手席から降りて来て、旭ママと話してる。


「…あれ?…おじいちゃんにおばあちゃんみたい」


「葵ねぇの親か?…ほんとだ!!」

すると、車はこの先に上がって行った。



おじいちゃんたち…?


葵ねぇに会いに来たのかな…。



『里田葵はどこにいますか?』
って尋ねられたけれど…教えない方がよかったかしら…?

と、わたしに教えてくれた旭ママ。

連れ戻しに来たわけじゃないわよね…?
と、わたしの家の先を見た。


「…行ってみようぜ!」


「うん…」

日夏に吊られて、走って家まで向かう。


旭ママの言う通り、ほんとに…連れ戻しに来たのかな…。