カクレンボ




誰も何も言葉を発しなかった。臭いに堪えているのだろう。時折うっ、と唸りが聞こえた。



いよいよ洋館の前に立った。「中谷」という表札もやはり茶色く錆びており、ドアノブも一面茶色である。いかに古いかがうかがえる。



突如藤村が笑顔で叫ぶ。



「きゃー、こわ〜い!」



その余りにも不釣り合いで間抜けな叫びで全員が腹を抱えて笑った。一気に緊張がとけ、余裕を持った表情を浮かべていた。



そして、その扉は開かれた。