奈々の顔は普段の温和な笑みからは感じられない程冷たかった。 ガチャンと錠が閉まる音がした。奈々は扉の錠を目の前に翳した。 「この家、内側からも鍵が必要なの」 奈々は笑いながら鍵を床に落とし、思い切りふんずけた。鍵も年代物らしく、細い繋ぎ目で契れた。 「奈々ちゃん、冗談キツいって……」 藤村が宥めるような口調で言った。しかし奈々は気に求めず高らかに笑い声を上げる。 「せんぱーい、これ、気づいたんでしょう?」