がっガマンって…。

でも手は離さないまま、花火を見る所まで来た。

土手の上で、穴場だった。

けれど…。

「いない、わね」

「んっとにどこにいるんだか」

そう言って空いている手で、ケータイを操作する。

けれど繋がらないみたい。

「…もうここで待ってましょ」

「そうだな」

…でも手はつながれたままだ。

アタシもコイツも、離そうとしなかったから…。

手の熱さと汗を感じるけれど、不思議とイヤじゃない。

「あ~あ。髪の毛ボサボサ」

長い髪が結い上げたお団子から崩れていた。

「そんなことないよ」

「あるわよ。もうボサボサ。お団子、外そうかな」

髪を気にしていると、ふと手が伸びてきた。

そのまま一筋の髪に触れる。

「えっ…?」

「キレイ、だよな。お前の髪」

「あっありがと」

長い髪が好きだって…言ってたっけ。

そのままお互いに顔が近くなる。

髪をクイクイ引っ張られた。

「なっ何よ?」

顔を上げると、

「んっ」

…キス、された。

「んんっ!?」

そのまま抱き締められる。

けれど…抵抗しなかった。

アイツの一生懸命さが伝わってきて…動けなくなってしまった。

しばらくして離れると、お互い顔が真っ赤になっていた。

暗闇の中でも分かるぐらい、熱を持っている。

「…何で、キスしたの?」

「可愛かったから…」

そう言って、再び抱き締めてくる。

アタシはアイツの胸に顔を埋めた。