【完】宛先不明のラブレター



…昨年もその前も、ここまでは来た。

今のように、手にはコーヒーとココアを持って。


でも、俺はこの階段をのぼることが出来なかった。


自分で自分に色々と言い訳をして、結局上に行くことはなかった。




広場には街灯がひとつしかないので、上の様子はわからない。

ここからじゃベンチも見えない。


明るい時には、ベンチの前にある柵が見えるけど。




…そういえば、あそこからたくさんの星を眺めたな。

果枝と結ばれたあの日も、こんな風にたくさんの星が見えていた。