悲しくないと言えば嘘になるけれど、でも、お互いが新しい“幸せ”を見つけるための別れだから、もう涙を流しはしない。 そう、これは悲しい別れじゃないから。 …果枝とも、あの日別れたのを最後に、会うことはなかった。 またね、と言った俺に、果枝は応えてくれたけど。 今もまだ、果枝はあの高台にいるような気がするけれど。 俺は、あの日以来高台に行くことはなかった。 …もし、そこに果枝がいなかったら。 果枝にとって俺はそんなもんだったんだと、思うに違いない。