あたしは走っていた。 何処へ行くなんて決まってない。 目的もなく、ただ走っていた。 周りに流れていく景色と共に、時々物珍しそうにあたしを見る通り行く人、人。 夕方の商店街は人で溢れかえっていた。 「はぁっ、…っ、はっ、」 息を整えるためにベンチに腰掛けた。 心臓の音がうるさい。口の中が鉄の味。 …気持ち悪い。