俺が送る、と言うと果枝は笑顔でそれを断って、帰っていった。

…少し、泣きそうな顔をしていた。


ケンカしたわけではないのに、なんだかあまり良い気分ではなかった。


…果枝が、いつもなら笑顔で帰っていくのに、今日に限って今にも泣きそうな顔で無理して笑っていたから。




あのとき、果枝と笑顔で別れられていたら、良かったのかもしれない。

果枝がおかしいことに気付いていたのだから、引きとめれば良かったんだ。


そうすれば、良かったんだ。