【夏の夜】


月が泣く夜 蛍が逝った
淡い光り 愛した人

暗闇の中 一筋の涙
手の中をすり抜けた砂

戻らない時計の針は進む巡る
愛した人は空へ海へ
崩れ落ちるように泣いた夜は
蛍の群れの光りに包まれた


夜が泣いた朝 鳥が飛んだ
一羽の白 愛した人

青空の中 一筋の羽
手の中をすり抜けた陽

戻らない時計の針は進む巡る
愛した人は空へ海へ
崩れ去るように迎えた朝は
一羽の鳥が小さく歌った


夏の夜 静かに旅立つ愛した人
小さい線香花火の命のように
愛した人は灯すように消えた

戻らない時計の針は廻り巡る
愛した人は何処へ何処へ


戻らない時計の針は廻り続け
愛した人は空へ海へ
崩れ落ちるように泣いた夜に
小さな貴方の言葉を聴いた


夏の夜