【永遠】

  永遠はあると思うかい?


  蝶がむかし呟いた言葉
  
  そんなものある訳ないじゃない
  そんな不変はないのよ


  蝶は笑った
 
  永遠はね あるんだよ
  本当はないけれどね
  あるんだ あると信じたいんだ
  

  遠くを見つめて
  信じたいと呟いた蝶は初めてだった



  たとえばの話さ
  俺が死んだら君は俺を忘れるかい?
  忘れないだろう 君だから
  君の中に俺が居る限り
  俺の存在は永遠なんだよ
  
  不変なんてありはしないさ
  それでもね
  記憶という箱庭の中に
  俺が生きているなら
  俺の存在は証明されて
  それは永遠だろう?




  蝶は旅立った
  3年と4か月が過ぎようとしている
  未だに蝶はわたしの中に存在する

  

  これが永遠と言うならば
  



  違う 
  これを信じて居たかったのだ
  蝶は
  この気持ちを
  信じて居たかったのだ




  本当は永遠などないと知っていたから
  知っていたからこそ



  信じて居たかったのだ