【雪花】

(わたし結婚できるかしら)

(しなさいな。陽向ならさぞかし綺麗な花嫁になるでしょう)

(雪花は殿方と結ばれる事を望まないのね)

(ええ、わたくしは)







此処は遊郭、遊女の街

わたくし遊女は殿方をもてなすのがお勤め

恋なぞ愛なぞ

わたくし遊女には決して叶いませぬ





決して結ばれぬあなた様に想いを馳せ

この街で生きて死んで往くのです

雪に咲く花が好きだと仰ったから

わたくしの名を雪花と申します

出来るのならば雪の日に

赤い花を散らして

一瞬の夢を見ることだけが

わたくしの望みで御座います





それまで少々恋の歌を口ずさみ

綺麗な着物と綺麗な化粧で

身を彩り

その一瞬の永遠を

幾年月も待ち望みましょう







それはあなた様との



夢恋歌







(叶わぬ想いに)
(、生きるわたくしを)





夢の歌に乗せて。