【死して尚、わたしを生かすのか】

夢を見た

何年も前からの呪縛に 喰われる と思った

徐々に でも 確実に
喰われる と思った
逃げる術は ない のだと思った

ひとりずつ 喰われていった
ああ わたしは、一人か と
ひとりになったか と

呪縛は あえて病気とは言わない
 呪縛 

呪われた 運命
 縛られた 運命

逆らわずに ただ 逃げて
逃げて 逃げて 
そうやって 生きてきた

そうやって暗闇の中 ひとり
夢の中で ああ 死ぬのか と
覚悟して 目を閉じた

けれどいつまで経っても
呪縛は わたしに手を出さなかった

ただわたしの手に 暖かいもの
誰 と目を開けた

ああ 君だったの
迎えにきてくれたの 

けれど君は 首を振って
ただ 呪縛とは 反対の方向へ

わたしの背を 押した

君はどうするの?

笑って そこにいた 君

呪縛は襲ってこない
守られているのか わたしは

涙で視界が歪む世界に
ただ そこに居た

呪縛は 少しずつ
またわたしの中へ 心の奥底へ 戻っていった
ひとりずつ 戻ってきた
ひとり ふたり さんにん よにん と
少しずつ 戻ってきた

蝶がひらり と 飛んでいった
振り返ったら君は いなかった

君は 時々夢の中へ現われては 消える