「これは…いちよう、婚約指輪なんだ」 「いちよう…?」 「あぁ…、」 俺は吉川から指輪に視線を落とし、話し出した。 「俺は…幼い頃から幼なじみの女の子がいてな…」 「……」 吉川の目は真剣だった。 だから俺は話そうと思った。 だってきっと、うぬぼれかもしてないけど、 吉川は俺のことを見ている。 毎日、俺のところへ来て質問があると言っては放課後に会っている。 だから、それに俺は答えられないことを示すために。 ゆっくり…話しだした。