ほんの少し発散された怒りに。
今度は虚しさが襲った。


「あいつなんか、きらいだ…」


力なく、投げつけた後の手がシーツに埋まる。

一年前の今日。
自分はおかしくなってしまった。

こんなにも。

こんなにも。

誰かを求めることなんてなかった筈なのに。
傍に、居て欲しいと思うなんて。


「ひとりで…いいのに、なぁ……」


淋しい。

ふと浮かんだ感情。
それに頭を振った。

流されて、頷いた筈だった。

たった一人の存在が、こんなに大きくなるなんて。

熱いものが込み上げる5秒前。
電子音が鳴った。

電話だと解かってる。
だって、この音は特別な証。

戸惑って。

躊躇って。

腹が立って。

音を止めた。
その後は静寂が響く。

二度と音が響くことはない。


「もう、知らない」


このまま、消えてしまえばいい。

虚しさも。
哀しさも。

『今日は会える?』なんて送ってしまった自分も。

全部持って、消えてしまえばいい。