ガリーとあたし。

ここでいよいよあたしはムカっときて。

そりゃーもうムカっときて。

何がムカって、デリカシーのないその質問もだけど、何よりもその呼び方。



だからあたしは思いっきり睨み上げる。

学校の人気者、らしい長身の彼を。


「あのさ、『シバさん』はガリーのだけだから! そう呼ぶのやめてくんない!?」


言ってやった言ってやった、ちょっとスッキリ。


「……えー、じゃあ俺なんて呼べばいいの」


ようやくしょげたような表情を見せる青山君。

お前の方がよっぽどイヌっぽいわ。


「呼ばなくて結構! あたし用事あるからこれで!」


「え、さっき何も用ないみたいなこと言ってなかった?」とか言う青山君を置いて、あたしはわざとらしく足音を立てながらその場を後にする。