――次の日――
目が異常に腫れている。
当たり前か。
一晩中、泣きながら過ごしたんだから。
起き上がってみると、少し頭も痛い。
とりあえず、熱めのシャワーを浴びる事にした。
私はシャワーを浴びながら
『有給使っちゃおっかな』
なんて安易に思ったんだけど、仕事の事を考えるとそんな事は出来るはずもなく、渋々支度を始めた。
戸棚から頭痛薬を取り出して飲み込んだ。
キッチンからは、コポコポと音を立ててコーヒーメーカーが働いている。
いつもと変わらない朝。
違うのは、私が涼の彼女じゃない事だけ。
会社に行く覚悟を決めた私は、仕方なくギリギリまで目を冷やしてメイクでうまく隠した。
お気に入りのマグカップに、コーヒーを注いだ。
いつもならテレビを見ながらコーヒーを飲むのだけど、どうしてもその気になれなかった。
頭の中を回るのは、涼の事だけ。
ずいぶんと涼に入れ込ん出たんだなって実感しちゃうよね。