今日は、あんまり仕事に身が入らなかった気がする。

あまりにも急な先輩の言葉は、私に少し冷静さを無くならせていたかもしれない。


コンコンコンコン……


ボールペンを何度も無意味に机に打ち付ける。

私がイライラしている時に良くやる癖だ。

淡々と仕事をする傍ら、佐々木先輩の言葉が耳から離れなかったのだ。


そんな私を見かねたのか、涼からのメールが来る。

『梓さん、やっぱ変だよ。大丈夫?』

優しい涼からのメール。

私は涼に

『大丈夫。今日は遅くなるから』

と、簡単にメールを入れて、そそくさと帰り支度をした。

もちろん、佐々木先輩の待つロビーに。