「そら、こちらでは如何?」

一の君が、黒の石をいくつかご自分のあげはまにおとりになっておっしゃるのを、けれども、二の君もゆったりと、お焦りになるご様子もなくて、微笑まれてご覧になるのでした。

「そちらでよろしいのですか、兄上」

す……と、二の君がその御指を伸ばされる先に、一の君が視線をお移しになりますと、そちらに、思いもかけられずにいらっしゃった良い路がございます。