「本当にそう思っているの?」


今までの彼から考えられない、とても低いトーンの冷たい声で呟くようにチェシャが言った。
その言葉と一緒に、苛立ちのような殺気のようなものが体中にビリリと伝わってくる。


その瞬間に、ごめんなさいとあやまりたくなるが、それでもここで負けたくなかった。


何も言わずに余裕満々な振りをして、意地悪く見えるようににやりと笑った。


「へぇいいドキョウしてるじゃん、流石アリス様」


そうじゃないと遊びがいがないからね。
そうとても失礼な事を続けると、彼から出ていた殺気のようなものも落ち着いて、いつもの厭らしい微笑みで私を見た。


「じゃあ俺は……お星様。どうか、ルイさんが俺を好きになってくれますように」


先程の私の真似をして、星空を見ながら言った。
それから私の方向を見て、お互い願いが叶うといいね。と続けた。
私が唖然とその光景を見つめていると


「さて、俺はアリス様から、絡むなって命令が出ましたし。そろそろ家に帰るとするか、バイバイ」


っとあっけなく何処かへと歩いて行った。


「そうそうアリス様。あんただけ願いが叶うって不公平だよね」


途中振り向くと、そう一言含んだように言うと、森の中に消えていった。



「絶対、あんたを好きにならないんだから!」


私は彼の消えた方向にそう叫んで、心の中に生まれた妙な感情を吹き飛ばした。







END