ティックに連れて行かれ彼の部屋に入ってみると、目の前にはテーブルと上には可愛らしいカップ、どうやらお茶のお誘いだったらしい。


「あのっ、アリス様、お誕生日おめでとうございます」


私が突然のお茶のお誘いに驚いていたら。
少し照れながら言うティックの台詞にさらに驚いた。

「知っていたの?」


自分でも言ったか言わなかったか曖昧な私の誕生日、バレンタインデーと重なっていなっかったら絶対忘れている、自分の誕生日。


「はい。当たり前ですよ」


それでもティックは知っていてくれて、ささやかだけどとても素敵なパーティを用意してくれたみたいだ。
それだけで嬉しい。


「それでですね……。あの……こちらはほんの心ばかりのものですが、お納めしていただけませんか。」


テーブルの上においてあった手のひらくらいの大きさの箱をくれた。
私は右手に持っていた。チョコマフィンの入っている紙袋をいすの上に置き受け取る。


「ありがとう」


嬉しすぎてほかに何を言えばわからない。

「開けてみてください」
「うん」


机の上で彼から渡された箱を開けてみると中からは可愛らしいチョコレートケーキ。
ケーキ作りに慣れていないのかいびつな形のそれは見ていてほほえましく。
つい口元がほころぶ。


「ありがとう」


だがよくよく考えてみると、中には“チョコレートケーキ”が入っている……今日という日に。
これはどのような意味なのだろう。