拓海と女性のアノ光景を見てから、もう2日が過ぎていた。



その翌日から、奥様からの直接伝授を優しく教わっているけれど。



今日は奥様の予定が入り、午後からフリーとなってしまった私。



そうして専業主婦をしている菫と、久しぶりにお茶をしているのだ。




「…してただけなら、溜め息はつかないわよ。

蘭はね、昔からウソが下手すぎんの」


「・・・」


どんなに隠そうとしても、彼女にはどうしてかすぐにバレてしまう。



探りを入れるのが上手ければ、核心を突くのも上手いから困りモノだ…。




「ごめん、菫…。

東条の“しきたり”が覚えられずに落ち込んでただけなの。

だから大丈夫、ありがとね」


「ふーん、そう…。

でも、何かあったら言いなよ?」


「うん、ありがとう」


明らかな言い訳にも深くを追求しないのが、また彼女の良い所で憧れる。




“なんで私に相談しなかったのよ!?”


菫には、後藤社長の件を事後報告をして怒られたばかりだけれど。




ごめんね…、口にして不安をカタチにしたくなかったの…。