続けて彼は、プライベートジェットがサイパン空港に降りてからの話を続けた…。



拓海は頭を強く打った状態で運ばれた為、検査が念入りで細やかに行われたそう。



正確に説明し辛い状況では、桜井さんにも問題無いと断言出来なかったらしい。



だけれど私がこちらへ到着する前に、ようやく全ての検査結果が出揃ったコトで。



桜井さんや理沙子さんたちには、“もう大丈夫”だと伝わったそうだ・・・




「佐々木さん、もう大丈夫だからね…」


「っ、あり、がとうございます…」


ポンッ――

小刻みに震えていた私の頭を撫でると、宥めるように言ってくれた杉本さん。



それから視線をフッと外して、どちらも未だに目覚めぬ彼を見続けていると。



「さすが東条社長だよ…」


「っ、は、い・・・」


ポツリと紡ぎ出された彼の言葉で、涙腺のスイッチがONしそうだったけれど。



歯を喰いしばって耐えると、その代わりにそれに同調してどうにか笑ったの…。




優しい笑顔で人を惹きつけて、分け隔てない人柄でたちまち人を魅了する拓海。



いつでも多くのヒトから信頼されて、その期待を遥かに越えるほどに成果を残す…。



引き合いに出せばキリがナイほど、愛おしいヒトは偉大すぎるからこそ。



いま私が出来るのは、目覚めるまでは泣かないコトなの…――