何に対しても面白いだとか楽しいだとか、全く感じられないというのに。



泣きたくて…、苦しくて…、心配で…、狂い出しそうなのに…。




負の感情だけがグルグルと蠢く中で…、どうして笑えるのかな?




引き攣りもなく笑みを浮かべて、仲間の齎す話題に乗ってまた笑って。




拓海の優しい顔が浮かぶ度に、涙が出そうなのにどうして…?




裏面を隠し通して笑うコトが、今もなお出来るのよ・・・





「わりぃ、遅れた!」


「おー、涼太おせぇよ!」


「っ――!」


懐かしい声と名前が耳に届いて、思わず肩をビクッと揺らしてしまった。




「しょうがないだろ、渉外は色々忙しいんだぞ?」


「代返ばっかしてたヤツが、忙しいとか無いだろ」


「うるせぇよ!」


そうして談笑交じりに話すのは、あの日以来会うコトが無かった涼太くん。




仕事帰りらしいスーツスタイルで、席について早々にジョッキを煽っていた。



人気者だった彼の元へは、代わる代わる皆が話し掛けに行っていたのだけれど。



不覚にも泣いてしまった日を思うと、私は席を離れるコトが出来なかった。




ううん…、本当は何かの拍子で、堪えている留め金が外れそうな気がしたの…。