楽しい時間は早く過ぎる。 玄関へ向かう時、無償に寂しくなる。 『じゃ…』 「あぁ。 …そんな寂しそうな顔すんなら泊まってけばいいのに。」 『だって着替えないし…』 「なら、明日持って来いよ。」 ………泊まる、って事はつまり―――――― 「まだ手出したりしねぇから安心しろ。」 まだ!? まだって何! 『わ、分かってる。』 プイッと回れ右をすると、ドアにトン‥と腕が伸びてきた。 背後から気配を感じるのに、あたしは後ろを向けずに固まったままだ。