「あのさ、佐奈に聞きたいことあるんだけど」
家まであと一歩というところまできたところで、銀はピタリとその場に立ち止まった。
「え?聞きたいこと?」
銀につられて立ち止まると、銀は真っ直ぐあたしを見つめた。
互いの視線が熱く絡み合い心臓が爆発しそうなほドキドキと高鳴る。
今まで見たことがないくらい真剣な表情を浮かべる銀。
聞きたいことって何だろ……?
あたしはゴクリと生唾を飲み込むと、銀の言葉を待った。
「佐奈んちってさ、猫飼ってる?」
……え?猫?
その突拍子もない質問に、思わず笑いが込み上げる。
「猫は……飼ってないよ?」
「あー……だよな。ごめん、今の話は忘れて?」
クスクス笑うあたしの横で、何故か銀は少し落胆しているように見えた。



