正反対恋愛【完結】

「……やだ。やだよ……。銀と離れたくない」


「嬉しいこと言ってくれるじゃん。でも、その続きはまた今度」


そう言っておもむろに立ち上がると、銀はあたしの横を通り過ぎ大声でこう叫んだ。


「翔太、いるんだろ?!出てこいよ!!」


え……?翔太君……?


銀が叫んだとほぼ同時に、翔太君が物陰から姿を露わした。


「どういうつもりだよ?佐奈が好きだって言うから協力してやったのに」


怒りに満ちた表情で翔太君に近付いていき、銀は翔太君の胸ぐらを掴んだ。


「本当だよ?俺、鈴木さんが好き」


「嘘つくんじゃねぇよ。こいつらから全部聞いたんだよ。お前が佐奈に嘘の告白したことも」


「なんだ。もう知ってたのか」



あぁ……やっぱり。


何故か辺りを気にしてソワソワしたり、大きな声で告白したり。


今まで告白されたことのないあたしでも、翔太君の告白がおかしい事に何となく気が付いていた。


それに、翔太君があたしを好きになるなんて有り得ないことだから。



でも、少しだけ……

ほんの少しだけチクンと胸が痛んだ。