正反対恋愛【完結】

「ハァハァ………」


昔から運動は大の苦手。


中学の体育の成績は10段階の中で3だった。


少し走っただけで息が切れ、脇腹が痛くなる。


銀……どこにいるの?


しばらく走り回っていると、あたしは体育館脇の階段に座っている銀を見つけた。



「銀……!!」


急いで銀の元へ駆け寄ると、銀の周りには苦しそうに呻き声をあげる男の子達が倒れていた。



「あぁ、佐奈。どうした?」


「銀……何があったの?」


地面に倒れているボロボロの男の子達とは対照的に、銀の顔には擦り傷一つない。



「別に。ただの喧嘩」


「喧嘩って……」


ただの喧嘩のはずない。


だって、倒れている男の子達は銀のクラスメイトだから。


バレンタインの日、あたしをからかった男の子は鼻から血を流し苦しそうにゼェゼェと肩で息をしていた。