しばらく歩くと、今度はTの字に差し掛かった。

まっすぐ行った先には、警備員が立っている。


きっと、その先が光の控え室なんだろう。

あとで、瑞希さんに挨拶に行こう。

そうしたら、光にも会えるだろうし・・・。



ステージからは音楽が聞こえ始めた。

リハーサルが始まったんだ!


わたしはTの字をまっすぐ行かずに、左に折れた。

黒いTシャツを着たスタッフが蟻のように忙しく走り回っていた。

その雰囲気に緊張感が高まる。



「おはようございます」

スタッフに大きな声で挨拶をしながら、先へ進む。

スタッフはあまりの忙しさに、わたしの存在にすら気づいていない様子だった。

一歩、一歩、ステージに近づくにつれ、リハーサルの音が大きくなる。