9時30分。

金曜日の今日は、大好きなバラエティ番組が

放送されている。

けど今は、見る気にはなれなくて―

ただただ、ボーッとしていたかった。

「烏龍飲む?」

「あ…、うん。」

少しして、氷が3つ入ったコップに

烏龍茶を入れて

弘人が持って来た。

2人の間に会話なんて無い。

…というのも、私が話せる状態じゃなかったから。

呼吸が整わない。

ヒクヒクする、私の胸の中。

弘人は何も言わずに、私の背中をさすってくれていた。

「ひ…ろと。」

呟くと、弘人の手がピタリと止まった。

「ありがと…。」

多分ね?私、

あのままローソンに入ってなかったら

弘人が来てくれなかったら

潰れてたと思う。

「ん。」

それ以上、弘人は何も言わなかった。

私も、何も言えなかった。

「ヒクッ…、ヒクッ…。」っていう

私の泣き声と、

サッ…、サッ…っていう

弘人が私の背中をさする音だけが

響き渡っていた。