死臭のする街は、相変わらず今日もやたらと静かだ。


ぼんやりと空を見上げる、黒髪の王者。


「…おぃそこのガキィ!俺らのシマ荒らしてんじゃねぇぞ!」


今度はチームか何か組んで戦うって訳ね。ま、そりゃ仲間は多いほうが生きやすいんじゃない?



「…邪魔。消えろ。3秒以内にな」

「…ッんだとォ?」



嗚呼、悲しきかな。この世界は変わらない。 誰かが死んだとか、誰かが強いとか、誰かが泣いたとか。世界はそんな簡単に変わるもんじゃない。もしもそんな世界だったら、きっともっと簡単にぶっ壊れていたに違いない。




でも、人間は、変わる。



俺の目の前のチンピラを殺したら、誰かは悲しむんだろうか。



たまには、この無駄な肩書きに役に立ってもらうとするか。






荊徒紫苑は、廃墟の王は、溜息をついた。





Fin